SSブログ

どんな花を育てたいですか? -まずは形から- [あいさつ]

「あの~、ガーデニングとか始めたいんですけど、まずはどんな花を買ったらいいですか?」

園芸店勤務の頃、初心者のお客さんを接客することも多くあった。
そういったお客さんがまず店員に話しかけるのがこの言葉だ。

慣れたお客さんは大抵目的意識を持って園芸店に買い物に来る。
「日陰に強い花」「毎年咲く花」「寒さに強い花」「暑さに強い花」「カラフルな花」etc
こういった条件提示を頂ければ、従業員は自分の持つ引き出しの中から幾つか候補を出して商品をご案内できる。
しかし初心者で目的をはっきりと持たないお客さんの場合、こちらから詳しい目的を聞いても「よくわからない」に尽きてしまう。

従業員によっては「ああいうお客さんは困るよなぁ」と言い、面倒臭がる。
自分が買い物に来ていながら自分で何が欲しいかわからない。
確かに何だか妙な話にも聞こえる。

だが私は逆にそういう人こそお相手にし易かったし、話していて嬉しかった。
「お客様が育てたいと思った花を買えばいいんですよ。」
私はそんなふうによく言った。

これから園芸をしてみたいという、ふつふつと湧き始めた興味の感情を満たすのはどんな花か。
それは自分が実際目で見て、臭いを嗅いで、フィーリングで感じて「育てたいな」と思ったものではないだろうか。

店側とすれば確かに初心者が失敗しないような丈夫な花を紹介するのもセオリーだろう。
商売っ気を出せば一年草で直ぐ花が終わるものを紹介し、また買いに来させるという手もある。
でもそうやって店側が紹介した花を100%好きになれるだろうか?
「勧められたものの・・・何か違うんだよな」
そういったミスマッチもあって当然だろう。
だって自分の目的もはっきりせず人の言いなりになって買ったものだもの。
そのときその人はその花に情を持ち続けられるだろうか、変わらぬ愛を注げるだろうか。
やがて枯れても悲しむだろうか。従業員を恨みすらするのではないか。

私は「初心者だからこの植物はダメ」というのはないと思う。
「こんな花が育てたい!」
そんな「形」から入っていいと思う。

「形だけ」という言葉がある。中身が伴っていないという意味だ。
確かにそれは言葉どおりかもしれない。
でも「形」から入って、そこから中身が伴うこともあるのではないか。
「良いな」って思う形を成り立たせるため、「憧れる」形に近づくため努力するのではないか。
ちょっと自分に見合っていない素敵な女性と付き合うことになった。
でも見合うように努力するのって、その女性と付き合っていること自体より素敵なことじゃないだろうか。

「形から」大いに結構。
近所の植物愛好家が冷ややかな目で見てもいいじゃないか。
周りの目など気にしない方が良い。貴方が選んだ女性だけを見るべきだ。
まずは自分が好きな女性をたくさん愛して欲しい。

本やネットで調べて、水をやって、肥料をやって、植え替えて。
おや?様子がおかしい、虫が出た、黒い斑点もある!?
そうなったらまた調べて、対策を考えて。
そうやって自分が好きで選んで自分で育てた植物が大きくなって、それでたくさん花を咲かせたら最高に嬉しいことじゃないだろうか。

花を選ぶなら自分の好きな花を選んで欲しい。
自分の意思で選んで育てようとする思いを持つ。
それこそ栽培管理に一番必要で大切なものなのだから。
きっと貴方がそう思ったこと、努力したことは彼女に伝わるだろう。
そして彼女は「開花」という最高の感謝の笑みを貴方に返してくれるだろう。


※冬ですね。サザンカも咲きました。


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 2

コメント 2

まさにその通りですね。。
案外迷ってみえる方もみえますからね。。
by (2007-12-03 17:27) 

なしえん

放置してすいません(汗
今年もよろしくお願いします。
by なしえん (2008-01-13 16:50) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。